そこで康則さんは
「1週間の出勤日は5日なのだから、半分なら2日半だけど、自分は譲歩して飲み会は週2日を原則として、どうしてものときは週3にするのと、土日の1日は自分が子守をする」
と提案したのに、妻が
「仕事で飲みに行かなければならないのもわかります。それは私も営業をしていたからわかります。だけど普通に接待なら毎回毎回2次会、3次会まで行く必要ないし、そもそもキャバクラに行く必要はないでしょ」
と言います。そうすると、康則さんは、
「仕事上、どうしても週2日は必要だから、それは厳守して、12時までには帰るようにする」
と言います。落とし所を模索しているわけです。自宅で、さんざん落とし所を模索してうまくいかなかったのですから、私の前で同じことをしても、落とし所が見つかるわけがありません。
もう一つのやり方は、「支配」です。多香子さん(仮名)は、
「夫が言うことは、常に正論なんです」
と言います。
「正しいのはわかるのですが、なんか自分がどんどんちっぽけな存在になって行く気がするんです」
と続けます。どんなことが起こるのかお聞きしてみると、
「夫の友人のホームパーティーに招待されたとき、私はお腹が痛くなってしまったので、申し訳ないけど今日は一人で行って、とお願いしたのに、いろいろ言われて。結局痛いのを我慢していくことになった」
のが一例だそうです。夫からは
「でも、あの時は君がそんなにお腹が痛いって分からなかったし、友人夫婦も我々を招待するために結構準備してくれたのがわかるから、それを断るというのは申し訳ないし……」
と反論がすかさず出てきます。
「共働きなのに家事も結局私がほとんどすることになっているし……」
といえば、
「でも、僕が家事が苦手なのはわかるだろ?うまくできないから、君にもストレスになるし僕にもストレスだから、僕がやることに合理性はないのは明らかだから、君がお手伝いさんを雇うのがOKならそうするけど、君がそれはもったいない、と言ったじゃないか」
とまた反論がぽんぽん出てきます。