実は僕も独立しようと考えていたことはあったんです。相方の中島(忠幸)と3人でずっと苦労をともにしてきたマネージャーがいて、上手くいったらいつかは独立したいと相当前から話していたんですよ。僕が稼いだ金をマネージャーと半々にすれば、あいつの生活も少し楽になるだろうなって。でも、芸人の師匠であるブッチャーブラザーズのリッキーさん(岡博之氏)が会社の偉い人になったことで、その話は終了。リッキーさんの顔に泥を塗ることになるから、二度と独立なんて考えるのはやめようと思いましたね。

 僕なんか吉本興業をを辞めたり、渡辺プロダクションをクビになったり、点々として、いまサンミュージックにいますけど、やっぱり隣の芝って青く見えるものなんですよ。特に自分が売れてなかったりするとね。売れていても芸人仲間から給料のことを聞いたら「うちはどうなってるんだ!?」と思ったりする。

 でも事務所によって契約も給与体系もそれぞれで、良い悪いを比べるのは実は難しいんです。うちの会社は交通費とかスタイリスト代は自腹ですが、それを負担する事務所もある。吉本さんだと劇場や番組制作があるから、ほかの事務所だったら休みになっちゃう日も劇場で出番がもらえたり、番組に出してもらえたりするというメリットもありますよね。だからどっちが給料が良い悪いと一括りに比較するのは難しいんです。

 そういうことが背景にあるかわかりませんが、例えば、仮想通貨は関西のよしもと系の芸人さんがやってることが多かったんですよね。芸人が劇場とかで会ったりするから、そういう場所で話していて流行ったという理由もあると思いますが。関東の芸人は事務所が劇場を持っていないし、契約書の額面通りもらっているところが多いような気がする。支払いの根拠が見えるというか。僕なんかも何割を会社が取るかとか全部知っているから、明朗会計で不満もない。でも、事務所によっては契約書さえ何もない、この仕事がいったいいくらだったのかわからないってことも聞きます。

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「独立騒動」はその後やりにくくなることも…