本塁打王に輝いたヤクルト・ホージー=97年撮影 (c)朝日新聞社
本塁打王に輝いたヤクルト・ホージー=97年撮影 (c)朝日新聞社

 ついに開幕した2018年プロ野球ペナントレース。先発ローテの仕上がり具合、新しい打線の破壊力、若手の成長度、ルーキーたちの実力など、ファンにとっては気になることばかり。その中で、外国人選手の出来も非常に優先度の高いチェック項目になる。特にオープン戦で不振に喘いでいた選手ならば尚更、心配になる。今季で言えば、ロサリオ(阪神)、ドミンゲス(ロッテ)、アルシア(日本ハム)といった面々が打撃低迷のままシーズン開幕を迎えることになった。

 しかし、過去には、オープン戦で苦しみながらも開幕後は一転、タイトルに絡む活躍を見せた助っ人も少なくない。代表的な例が、1997年にヤクルトに入団したホージーだ。29歳で来日すると2月の春季キャンプでは走攻守において粗さと拙さを露呈し、野村克也監督からは「ただ明るいだけの選手」と言われるなど酷評の嵐。当時日本ハムに所属していた落合博満からも「史上最低の助っ人」と厳しい言葉が飛んだ。

 だが、誰もが認めた「明るさ」に加えて、勉強熱心で野村ID野球を必死に吸収した結果、開幕から快音を残し続け、一発長打に加えてシーズン終盤まで打率3割をキープ。最終的に打率.289、38本塁打、100打点、20盗塁の好成績を残し、チームのリーグ優勝に貢献するとともに自身も本塁打王のタイトルを獲得した。

 近年では、2014年に来日したゴメス(阪神)もいい意味で期待を裏切った一人だ。春季キャンプでは合流自体が遅れて調整不足も指摘され、オープン戦では4試合に出場したのみの打率.143、0本塁打、0打点でシーズンイン。だが、開幕後は10試合連続安打を放つなど、3、4月に打率.327、4本塁打、33打点と爆発し、その後も4番として安定した働きを披露。最終的に打率.283、26本塁打、109打点で打点王のタイトルを掴み取った。

 2015年に来日したレアード(日本ハム)も、オープン戦では13試合で打率.182、2本塁打、5打点と結果を残せずに周囲の評価は低いまま開幕を迎えた。さらに開幕してからも打率1割台と低迷が続いたが、栗山英樹監督が浮上を信じて我慢強く使い続けた結果、7月以降に調子が急上昇。最終的に打率.231ではあったが、34本塁打、97打点とポイントゲッターとして機能し、翌16年には39本塁打を放って本塁打王に輝いてみせた。

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