イングランド代表のラヒーム・スターリング(写真・Getty images)
イングランド代表のラヒーム・スターリング(写真・Getty images)

 3月の国際マッチウィークで、イングランド代表はオランダ代表(23日)、イタリア代表(27日)と強化試合を行なった。

 対戦結果は1勝1分け(オランダに1-0で勝利、イタリアに1-1の引き分け)。ワールドカップ(W杯)予選で敗退した2カ国を相手にしたとはいえ、いずれも実力国であることに変わりはなく、結果の点で言えば一定の評価が与えられる強化試合となった。しかし、肝心のパフォーマンスがおぼつかなかった。W杯での上位進出に太鼓判を押せるような、説得力のあるパフォーマンスではなかった。

 ここまで指揮官のガレス・サウスゲート監督は、ヨーロッパ予選と同時進行でW杯に向けた強化プランを進めてきた。ヨーロッパ予選では4-3-3、4-2-3-1の「4バックシステム」で戦ったが、予選期間中に行われた強化試合では3-4-2-1、3-5-2の「3バックシステム」を一貫して採用してきたのだ。

 つまり、スロバキアやスコットランドといった力で劣る国と同居したヨーロッパ予選では慣れ親しんだ4バックで結果を残すことに集中。一方、ドイツやブラジル、フランスといった強豪国とマッチメークした親善試合では、W杯本番を想定して準備を進めてきた格好だ。そして、今回行われたイタリア、オランダとの強化試合でも、3バックシステムの練度向上を図った。

 この3バックシステムの特徴は、守備時になると中盤のウィングバックが最終ラインに加わり、5バックに変形する点。相手ポゼッション時は素早くリトリートし、5-3-2で分厚い守備ブロックを構築する。まずは引いて構えて守備を固め、ボールを奪うとロングカウンターでゴールを狙う──。親善試合では2017年3月のドイツ戦から6試合連続で、この守備重視の3バックで戦っている。

 少し乱暴な言い方をすれば、イングランドは伝統的にチーム全体で行進するかのように、前に突き進んでいくしか策がなかった。しかし、前回のブラジルW杯は最下位でグループリーグ敗退。2年前の欧州選手権でも、アイスランドに敗れて決勝トーナメント1回戦で姿を消している。

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W杯でイングランド代表のポイントとなるのは?