大きな期待がかかる阪神のロサリオ (c)朝日新聞社
大きな期待がかかる阪神のロサリオ (c)朝日新聞社

 30日に開幕した2018年のプロ野球ペナントレース。今年も多くの新戦力に注目が集まっているが、即戦力という意味で最も影響が大きいのはやはり新外国人選手の存在だ。積極的に補強した球団とそうではない球団に分かれるが、そんな中でも活躍が期待できる選手を何人かピックアップして紹介したい。

 今年、最も注目を集めている新外国人選手となるとロサリオ(阪神)になるだろう。推定年俸は3億4000万円プラス出来高で、新外国人選手としては球団最高額と言われていることからも期待の高さがうかがえる。メジャー通算71本塁打もさることながら、直近でプレーしていた韓国リーグでは2年連続で打率3割、30本塁打、100打点をクリアしていることが評価の高さに繋がっている。今年で29歳とまだまだ若さがあるのも魅力だ。

 キャンプでは推定150メートルの特大アーチを放ち、紅白戦、練習試合では3戦連続ホームランと華々しいスタートを切った。オープン戦に入ると一転調子を落とし、打率1割台に低迷。ホームランも13試合でわずかに1本に終わり、早くもその実力を疑問視する声が聞こえてきている。

 内角の速いボールに対応しようとして韓国時代のフォームと比べるとタイミングをとる動きが少し急になっており、その結果外に逃げる変化球に苦しんでいるのが現状だ。パワーヒッターなのに三振が少ないという触れ込みだったが、オープン戦では41打席で11三振とその良さも消えている。

 だが、これはどの新外国人も通る道であり、この洗礼を克服できるかが活躍のカギとも言える。そして、重要になるのがその前後を打つ選手だ。ロサリオ一人にマークが集中するようだとどうしても負担が大きくなる。注目度の高い球団だけに外野からの声も多い。それをシャットアウトするためにも、早い段階で一発が出るかも重要になるだろう。

 メジャーでの実績という意味ではジー(中日)に対する期待も大きい。メッツ時代には2度の二桁勝利をマークし、一昨年もロイヤルズで8勝をあげるなど、メジャー8年間で通算51勝を誇る右腕だ。驚くようなスピードがあるわけではないが、手元で小さく変化するツーシームとブレーキのあるチェンジアップで打たせてとるピッチングには安定感がある。オープン戦でも序盤は打ち込まれたものの、徐々に調子を上げてシーズン前の2回の登板ではきっちりと試合を作ってみせた。打者を圧倒するタイプではないが、コントロールに破綻がないのは日本球界向けと言える。大きな貯金は作れなくても、1年を通じてローテーションを守ることができれば十分に二桁勝利は期待しても良いだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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抜けた穴を埋める新外国人は?