ハリルJ、ウクライナになぜ“好き勝手”にやられたのか? (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ハリルJ、ウクライナになぜ“好き勝手”にやられたのか?

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河治良幸dot.
ウクライナの組織的な仕掛けに苦戦した山口蛍(写真・Getty images)

ウクライナの組織的な仕掛けに苦戦した山口蛍(写真・Getty images)

 逆に長谷部はマリノフスキーが下がり目のポジションを取っても簡単には付いていかなかったが、その代わり前を向かれてワイドに展開されるシーンが目立つようになった。山口が前に出て生じるスペースには、センターバックの植田が出て侵入する選手をチェックしたが、こうした動きが増えると最終ラインの統率が難しくなる上に、マッチアップが劣勢な酒井高のところを植田がフォローする余裕がなくなってしまう。

 こうした守備のズレに対し、最初に意図的な対応を取ったのはトップ下の柴崎だった。序盤はほとんどアンカーのステパネンコをチェックして前からボールを取りにいっていたが、引いてきたインサイドハーフの選手にもチェックを入れるようになったのだ。それに応じて杉本がアンカーのチェックにいくなど柔軟な対応を見せたが、これにより高い位置から相手にプレッシャーをかける本来の狙いが失われた。

 こうなったら全体を意図的に下げて4-1-4-1のブロックを組んでしまうのも1つの方法だと思われるが、相手にボールを運ばれた結果として自陣に引いた守備になることはあっても、チームとしてできるだけ高い位置からボールを取りにいこうという志向は変わらなかった。

 マリ戦は相手の攻撃時にアンカーがセンターバックの間に落ちて3バックになる形に対し、1トップの大迫勇也とトップ下の森岡亮太が2枚並ぶ形で対応したが、中盤が薄くなったところで相手の推進力を発揮されるシーンが目立った。ウクライナ戦は基本的な守備組織がよりオーガナイズされていたものの、相手の変化に個での対応はあっても、組織として対応できない時間が続くことになった。

 筆者の見通しとしては、グループリーグの対戦相手が分かっている本大会に向けて、1つの守り方が機能しなくなったらそれで終わりという戦いはしないため、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が選手に“プランA“、“プランB“などいくつかのオーガナイズを事前に授け、状況に応じて変更できる戦術プランを仕込んでいくはずだ。実際、前回のワールドカップでベスト16に進出し、ドイツを延長戦まで苦しめたアルジェリア代表でも、対戦相手や状況に応じた複数のオーガナイズを植え付けており、個性的なキャラクターを持つ選手たちも忠実に実行していた。これは日本の選手にもできるはずだ。



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