会見中ネタを披露するゆりやんレトリィバァ。右2人は福島県「住みます芸人」のぺんぎんナッツ
会見中ネタを披露するゆりやんレトリィバァ。右2人は福島県「住みます芸人」のぺんぎんナッツ
ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏(左から3番目)とゆりやんレトリィバァ(右端)
ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏(左から3番目)とゆりやんレトリィバァ(右端)
会見ではユヌスくん人形なるものも登場した(右)
会見ではユヌスくん人形なるものも登場した(右)

 「お笑いの総合商社」として知られる吉本興業が3月28日、日本外国特派員協会に乗り込み、重大発表をした。過疎や高齢化に苦しむ地域の活性化や地域ならでは問題の解決などを目指す事業「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」に取り組むことを発表。2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏と協働した取り組みで、ユヌス氏が提唱する、社会的課題をビジネスの手法を用いて解決する「ソーシャルビジネス」の実践と普及を進めるという。

【吉本とタッグを組んだ、ノーベル平和賞受賞者とは】

 吉本興業では、11年より47都道府県に芸人が移住し、それぞれの地域を盛り上げる取り組みを続けている。東京に一極集中する若手芸人の活躍の場を確保するのが狙いで、お笑いを通じた地域活性の旗頭として、現在では121人の芸人が各地で活躍している。

 これまで約800の地域活性化事業に取り組んだり、地域の魅力を発信する83本の映画製作に携わったりしてきた。16年からはタイや台湾など、アジア6カ国の国と地域にも広げ、クールジャパンの伝道師として活躍中だ。こうした各地の「住みます芸人」が直面してきた地域の課題を集め、約30のベンチャー系企業や個人と協働しながら、解決を図る。アジア諸国においては、クールジャパン機構と7社が参画する「株式会社MCIPホールディングス」と連携し、貧困問題など社会的事業の拡大を目指す。

 芸人たちの地域に寄せる思いも強い。ゆりやんレトリィバァは会見に登場するなり、外国人記者らに流暢な英語で挨拶。続けて「映画の『バックトゥーザフューチャー』が好きで、今日はタイムマシンでやってきました」とジョークを飛ばしたが、不発。外国人記者らを困惑させる一幕があった。

 その後、気を取り直したゆりあんは会見で、「自分は奈良県出身で、奈良県の『住みます芸人』を3年前にやらせていただいていた。その時に農家の方とお会いして後継者不足を実感し、会見前のイベントでも農村の人手不足のネタを披露させていただいた。元『住みます芸人』として、何かできることがあれば手伝いたい」と話した。

 福島県の「住みます芸人」を務める現役のぺんぎんナッツも登場。ぺんぎんナッツは、「売れてない状態で福島県に移住させてもらって、東京ではできなかったテレビやラジオの仕事もいただけるようになった。福島では自分たちのギャグがおじいちゃんおばあちゃんみんなやるぐらい有名」と語った。

 ゆりやんのように、地域から名前を売って全国区に羽ばたいたり、東京から離れたことによって、自分の才能を発揮できる場に出会えたりなど、「住みます芸人」として地方に移住することは一つのチャンスと言えるようだ。

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ノーベル平和賞受賞者・ユヌス氏が会見で語った狙いとは