自分たちは反省もせずに、何の責任もとらずに、権力の座に居座るような政権は、終わりにしなければならないと思う。たとえ選挙に行っていなくても、他の党に入れていたとしても、今の政府を生み出し、そして野放しにしているのは、紛れもなく、私たち自身だ。彼らが今回の問題の責任をとらないといけないのと同じように、私たちにも彼らを辞めさせる責任があると思う。私たちは怒っているのだと、こんなことは社会では許されないのだと、意思表明をしなくてはいけない。

 選挙もないのに何ができるのかと思う人もいるかもしれない。しかし民主主義へ参加する方法は、無限に開かれている。わかりやすいのは、路上でのデモに足を運ぶことだろう。 知り合いと考えを共有することだって大きな意味がある。居酒屋や電車の中で「今の政治、何かおかしいよね」と雑談することだって、立派な「政治参加」だ。

 「民主主義」というのは、制度だけで担保されるような簡単なものではないのだと思う。私たちが政治に関わることを放棄すれば、すぐに「民主主義」の名を借りた専制になってしまう。私たちはもっと自分に正直になって、率直な怒りや不安を声にしてもいいはずだ。それはわがままでも何でもなく、私たちの権利なのだ。面倒だし、時間もかかるかもしれないが、この社会に生きる個人の声からつくられる政治を生み出していかないといけない。「民主主義」を内実の伴ったものにしなくてはいけない。私はそんなことを思いながら、今週も抗議の場に足を運びたいと思う。

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諏訪原健

諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

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