代表初出場で初ゴールを決めた中島翔哉(撮影・六川則夫)
代表初出場で初ゴールを決めた中島翔哉(撮影・六川則夫)

 海外で初開催となるキリン・チャレンジカップの第1戦が3月23日にベルギーのリエージュで行われ、“仮想セネガル”としてマリ代表と対戦した日本代表は前半終了間際にPKから失点したものの、アディショナルタイムの93分に代表初招集の中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)が値千金の同点弾を決め、1-1で引き分けた。日本は27日に同地でウクライナ代表と第2戦を行う。

 当初はワールドカップに臨む23人の代表選手を絞り込むための2試合と思われたベルギー遠征。しかしヴァイッド・ハリルホジッチ監督は3月15日の遠征メンバー発表の際に、「ガーナ戦(5月30日)の終わった31日に発表する予定でいる」と明言し、それまでは30人程度のグループを維持することを明かした。

 このため、ベルギー遠征は「最終テスト」ではなく「中間テスト」と位置付けていいだろう。レギュラー当確組は別にして、ボーダーラインの選手にテスト(チャンス)を与えて解答を待つ。実際、試合前日の22日の会見でも「4、5人ほどケガで来られなかった。ベストメンバーは揃っていない。5月の試合までいろいろな情報を持っておきたいので、これまで出ていない選手にトライしたい。特に試合の後半はそうなるだろう」と話していた。

 そこでトライする選手だが、ケガで今回の招集を辞退した吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)と酒井宏樹(マルセイユ/フランス)のDF陣、香川真司(ドルトムント/ドイツ)と清武弘嗣(セレッソ大阪)の攻撃的MF陣、そして現在の代表でタレントがひしめき合う左サイドハーフが該当するポジションとなる。

 左サイドハーフはすでに実績のある原口元気(デュッセルドルフ/ドイツ)が当確と言っていい。攻撃はもちろん、守備でも高い戦闘能力を有している。さらに、サイドハーフだけでなくセントラルMFやボランチとして試合を組み立てることができるのもアドバンテージだ。そこで問題になるのが2番手。今回招集を見送られた乾貴士(エイバル/スペイン)と武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)は今回のベルギー遠征でテストを受けることができないので、厳しい状況に置かれていると言わざるをえない。

 マリ戦でスタメン出場したのは、アウクスブルク(ドイツ)からのレンタル移籍により、ドイツ2部のデュッセルドルフでレギュラーポジションを獲得した宇佐美貴史で、今回は後半15分までプレーし、中島と交代している。結論から言うと、ふたりとも「一発回答」とはいえないが、得意のドリブル突破に加え、同点ゴールを叩き込んだ中島の方がアピールしたことは、ハリルホジッチ監督も認めていた。

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明暗が分かれた宇佐美と中島