15年12月にダイヤモンドバックスと6年2億650万ドル(約254億円)で契約したザック・グリンキーの場合はやや事情が複雑だ。

 1年目は13勝を挙げたが、規定投球回に届かず、防御率4.37と完全に不合格だった。だが、2年目の2017年は17勝7敗、防御率3.20、32試合の先発で202回1/3を投げるなど、エース級の活躍を見せた。

 ただし、今年で35歳となる上に4年も契約を残しているのはリスクが高い。何よりもチーム総年俸額の4割近くをグリンキーひとりが占めている“いびつな構造”は、チーム編成上の大きな枷となっているのだ。これではチームに長期的な展望が欠けていたと言われても仕方ないだろう。

 歯止めのかからなかった大型契約の乱発と、結果を残せなかった選手たち。その積み重ねは、いかに大リーグといえども、いつまでも容認できるものではない。今オフのフリーエージェント市場が冷え切った一因は間違いなくここにもあるだろう。(文・杉山貴宏)

※円換算の金額は全て当時のレートで算出した。