ヤクルト時代の2000年10月6日の阪神戦以来1274日ぶりに1軍のマウンドに上がった川崎は、初回こそ3人で抑えたものの、2回に7安打を許して5失点KOと期待に応えることができなかった。

 だが、ここから中日の怒涛の反撃が始まる。その裏、前年3敗を喫した“天敵”黒田博樹に3長短打を浴びせて2点を返し、6回に追いつくと、7回に一挙3得点で試合を決めた。そして、開幕白星スタートの勢いを持続して、5年ぶりVを実現。開幕戦で苦難に立ち向かう川崎の背中を見せてナインを奮起させる落合監督の作戦は見事結実した。

 開幕戦にスタメン起用されたルーキーが、プロ初打席の初球をいきなり本塁打するという珍事が生まれたのが2014年3月28日のDeNAvsヤクルト(神宮)。1回裏、ヤクルトはミレッジのタイムリーなどで4点を先制し、なおも1死一、三塁のチャンス。
ここで打席に入ったのが、この日8番ショートでプロデビューを飾ったばかりのドラフト2位ルーキー・西浦直亨だった。

 法大の1年先輩にあたる三嶋一輝の初球を「チャンスだったので、積極的にスイングしていこうと決めてました。体が勝手に反応した」とフルスイング。試合を決める左中間席への3ランとなった。

 ルーキーの開幕戦プロ初打席での本塁打は、1950年の戸倉勝城(毎日)以来64年ぶり2人目の快挙だが、開幕戦でのプロ初打席初球本塁打はもちろん史上初だ。

 「人ごとのようですね。正直、うまくいきすぎて驚いてます」とコメントした西浦は、2017年の開幕戦(DeNA戦)でも、タイムリーと犠飛で2打点を挙げ、球団史上最年長(37歳2カ月)の開幕投手になった石川雅規に白星をアシストしている。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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