勉強する子になってほしいと願うなら、勉強する時間を一緒に過ごしてみてください。そして、親自身が身じろぎもせずに集中する姿を見せると、思春期の子は、なんで親はスッと集中できるんだろう? と内心親に感心します(表面上は反発しますが)。

 反抗期で親に負けたくないという気持ちがある分、集中できない自分が恥ずかしくなり、次第に集中する方法を探そうとします。

 一緒にいるとなぜ子どもが学ぶようになるのでしょうか。

「自分と同じ時間、同じ空間を過ごしてくれる」のがうれしいようです。

 思春期は親に反発するものですが、特に干渉もなく、隣で同じ方向を向いて本や教科書を読んだりしていると「同志」感が生まれます。

 それは、まるでキャンプファイヤーを囲んだときの空気感があり、それが子ども心に気持ち良く感じられるようです。気分が良いから集中しやすくもなります。

「隣で勉強しなさい」とは言っても、教える必要はありません。ただ、自分が黙って集中して学習する姿を隣で見せるだけで結構です。すると、子どもは集中するにはどうしたらよいか、工夫し始めます。

 最初のうちは教科書の間に漫画を挟んで読んだり、落書きしたり、余計なことばかりしますが、それを注意する必要はありません。自分が集中していたら、子どもが勝手に恥ずかしくなり、次第に集中する方法を模索し始めます。

 もし「こら! 集中しないか!」と注意したら、子どものペースに巻き込まれます。

「やった! これをきっかけに『勉強なんかやってられるか!』とケンカに持ち込もう!」という策略に乗ることになるからです。

 しかしわき目も振らず集中されると、取り付く島がありません。

 トイレに行って戻らないという手段を取っても、「部屋の外に逃げた自分」を直視せざるを得ず、「親は集中しているのに、俺は何をやっているんだろう?」となります。

 だから、勉強する子になってほしいなら、親が同じ空間、同じ時間で学習するのが一番。

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