清宮幸太郎が直面する「プロの壁」…打球方向が物語る苦悩 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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清宮幸太郎が直面する「プロの壁」…打球方向が物語る苦悩

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西尾典文dot.
日ハム・清宮 (c)朝日新聞社

日ハム・清宮 (c)朝日新聞社

 プロの投手のレベルの高さと言ってしまえばそれまでだが、明らかに三振が増えていることは間違いない。もうひとつ気になるのが打球方向である。三振以外でアウトになった7打席のうち6打席が右方向への打球に偏っているのだ。昨年の春以降は、センターから左へも長打にできる上手さを身につけていたが、プロではそれが全く発揮できていない。そして持ち味であるホームランのためにはフライが必要だが、ここまで外野フライすら1本も出ていないのだ。

 改めて高校時代の国際大会の成績だけを見てみると、1年夏のU-18W杯では33打席27打数6安打、0本塁打、2打点、9三振で打率.222、3年夏のU-18W杯では41打席32打数7安打、2本塁打、6打点、8三振で打率.219という数字が残っている。木製バット、レベルの高い投手と対戦した時に苦しむことはこの成績を見れば不思議ではなかったといえるだろう。

 だからと言って、清宮の才能が劣っているわけではもちろんない。スピードも変化球のキレも増した中で、ここからいかに対応力をつけていくかというだけの話だ。実際高校3年夏のU-18W杯では、ホームランも2本放ち、そのパワーは高校生レベルではないことは明らかである。

 松井秀喜(巨人)も1年目のオープン戦では1割を切る打率しか残すことができず、中田翔もオープン戦初戦でいきなりホームランは放ったが、1年目は一軍に昇格することすらできなかった。それを考えれば現在の清宮の状況は全く悲観すべきものではない。それよりも怖いのは故障である。現在は体調不良で戦列を離れているが無理して復帰して、どこかを痛めてしまうことは避けてもらいたい。

 高い注目を浴び、その一挙手一投足がニュースとなるのはスターの宿命だが、高校時代からその経験があることは清宮にとっては大きなプラス材料である。この危機に対しても自分を見失わないだけの強さは持っているはず。まずは体調を万全にして、プロのレベルに対応するだけの技術を身につける状態を一日でも早く取り戻すことが先決だろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。


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