「一般入試よりも比較的入りやすいため『地域枠入試』で入学するケースも」と医学部予備校関係者(※写真はイメージ)
「一般入試よりも比較的入りやすいため『地域枠入試』で入学するケースも」と医学部予備校関係者(※写真はイメージ)

 入る前も入った後も何かとお金がかかる医学部。地域で働けば返還免除になる奨学金や、成績優秀者に大学が給付する奨学金など、学費の負担を軽減する制度を上手に活用したい。医学部志望生向けのAERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、主な地域枠入試の入試方法や募集人数などを徹底調査。受験生は地域に残ることをアピールするが、はたして実情は。

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 地域医療を担う医師不足を解消するために1997年度から始まったのが「地域枠」だ。約20年が経ち、現在ほとんどの大学が導入している。2016年度には71大学(1617人)にまで増えた。この数は地元出身者のための地域枠だけでなく、出身地にとらわれず将来地域医療に従事する意志を有する者を対象とした入学枠も含まれる。中には入試時には特別枠は設定していないが、入学後の募集で地域医療に資する奨学金と連動するものもある。

■入試で合格しやすく受験の機会が増える

 地域枠は受験生にとって、どのようなメリットがあるのか。

 まずあげられるのは、合格しやすいということだ。推薦とAO入試の地域枠は倍率が低いなどの理由で、一般入試よりも入りやすい。万が一不合格でも、一般入試にチャレンジできるので受験の機会も増える。

 もうひとつのメリットは、卒業後の一定期間、指定された医療機関や診療領域で働けば、奨学金の返済が免除となるものが多いことだ。

 東北医科薬科大学の「修学資金枠A方式」は、返済免除になれば、学費が国公立大学並みになる。同制度で入学した2年生の奈良井大輝さんはこう話す。

「三つの大学に合格し、父からは島根の自宅から近い関西の私大を勧められました。でも東北の復興のために役立ちたいという思いと、浪人したぶん学費の負担は軽くしたかったため東北医科薬科大学に決めました」

 奨学金の額はさまざまだが、中でも、額が大きいのが09年度に始まった「東京都地域枠入学試験」だ。現在は順天堂大学と杏林大学が各10人、東京慈恵会医科大学が5人募集している。

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