■リフォームで新築に近い断熱性能を

 でも、「継続性」を重視するなら、元気なうちにいまの住まいを老後に備えてバリアフリー化しておくのが理想です。

 マンションでも、築年数が長いと多少の段差がありますし、断熱性も劣りますから、数百万円から1千万円程度かけてリノベーションするのが現実的。最近はリフォーム技術も進歩していて、ある程度の費用をかければ最新の新築マンションに近い断熱性能を確保できます。

 一戸建てであれば、減築を考えてはどうでしょうか。思い入れのある住まいなら、2階を削って1階だけにし、あわせて耐震化、断熱化工事を実施すれば、安心感も高まります。

 あるいは平屋に建て替えるのもひとつの方法です。50、60代では3割近くの人が平屋を理想としています(グラフ)。60代で平屋を理想とする人の主な理由は「階段で上下移動がない」「同一階で生活できる」「庭が楽しめる」です。

 最近は、夫婦だけ、おひとりさまだけでの建て替えが増加し、平屋の需要が高まっているため、大手住宅メーカーでも平屋の新商品を増やしています。広さや工法などにもよりますが、大手住宅メーカーでも1千万円台で、地元のビルダーや工務店なら1千万円前後から可能です。(文/住宅問題ジャーナリスト・山下和之)

※週刊朝日ムック「定年後のお金と住まい2018」から