巨人に復帰した上原浩治 (c)朝日新聞社
巨人に復帰した上原浩治 (c)朝日新聞社

 カブスからFAとなっていた上原浩治の日本球界復帰が3月9日、正式に発表された。新天地として選んだ球団は古巣の巨人で、実に10年ぶりの復帰だ。メジャーでは4球団を渡り歩き、レッドソックス時代の2013年にはワールドシリーズの胴上げ投手にもなるなどリリーフとして大活躍を見せただけに、巨人でも求められる役割は当然リリーフになる。

 今季の巨人はカミネロ、マシソン、沢村拓一などが勝ちパターンでの救援陣となるが、いずれも絶対的な安定感には欠けるのが現状である。この三人が失点を重ねるようであれば、上原にクローザーの役割が回ってくる可能性も十分に考えられるだろう。今年で43歳となる大ベテランがクローザーを任せられるいかに珍しいことか、また活躍するためのカギはどこにあるのか、検証してみたいと思う。

 まずNPBでの最年長セーブ記録は斎藤隆(楽天)の44歳4カ月であり、2014年にマークしたものである。しかし、この年に斎藤がマークしたセーブはわずか3で、シーズンを通してクローザーとして機能していたわけではない。昨年は岩瀬仁紀(中日)が42歳7カ月でセ・リーグの最年長セーブ記録を更新したが、主にセットアッパーとして起用されたため、昨年のセーブ数は2にとどまる。通算セーブ数上位10投手が、二桁以上のセーブ数をマークした年齢をまとめてみると下記の通りとなった。

岩瀬仁紀(中日):40歳(20セーブ)
高津臣吾(ヤクルト):39歳(13セーブ)
佐々木主浩(横浜):36歳(19セーブ)
サファテ(ソフトバンク):36歳(54セーブ)
小林雅英(ロッテ):33歳(27セーブ)
藤川球児(阪神):32歳(24セーブ)
江夏豊(日本ハム):35歳(34セーブ)
馬原孝浩(ソフトバンク):30歳(19セーブ)
クルーン(巨人):37歳(25セーブ)
武田久(日本ハム):35歳(31セーブ)

 この中では40歳で岩瀬がマークした20セーブが光るが、この年の詳細な成績は34試合に登板して防御率は3.52というものであり、一流のクローザーと言えるだけの結果を残すことはできていない。昨年36歳でシーズン最多記録を塗り替えたサファテの数字は素晴らしいの一言に尽きるが、このレベルをあと4年間維持することは並大抵のことではない。超一流のクローザーであっても、40歳を過ぎて役割を全うすることがいかに難しいが分かるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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40歳を過ぎた今でも一流の力