カナダの友人は、女性は子どもが生まれても「ママ」にはならず、「妻」や「夫婦」でいることを大切にすると言っていました。「育児ばかりしていると自分はママでしかないって気分にならない?」と聞くと、学生ボランティアのシッターさんが多いため、子育てに明け暮れることのない環境が整っているとのことです。

 ただ、中には(私が言われたことだけでも)、予定分娩は「子ども自身が誕生日を選べない」とか、ミルクじゃなく母乳で育てるべきだとか(これではお母さんの負担が大きくて当たり前)、子どもを置いて働いたり遊びにいったりすると「親としてどうなのか」とか(たった数時間でさえ)言う人がいるわけです……。

 反論するなら、分娩日はなにより安全性を優先すべきだし(電車で出産して無事だったニュースがありましたが、やっぱり危険です)、私も姉も妹も完全ミルクで育ったけど何も問題ないし、子どもの頃は、母親が仕事なのだと言って1人で卵を割ってご飯をつくる友人は、周囲からしっかり者と尊敬されていました。何も出来ない私よりも明らかに立派で、専業主婦の母をもつ私より自己肯定感が高そうでした。

 そういえば以前「最近、お母さんたちが子どもを連れて居酒屋にご飯に行くらしいわよ」という悪口を聞いたのですが、これは酒を飲みたいからでなく、居酒屋は個室が多いからです。公の場で子どもが騒ぐとぼやかれるのに、静かな環境でゆっくりしようとしても文句を言われる。

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