西武・辻監督 (c)朝日新聞社
西武・辻監督 (c)朝日新聞社

 西武キャンプでの全体練習は、午後2時前後をメドに終了する。他球団と比べても1時間近くは早い。ただ、練習時間が短いと批判するために、この事実を明かしたのではない。

 そこからは「個別」での練習が、夕方まで続くのだ。

 例えば、23日の全体練習後、メーングラウンドで最後の1人になるまでティー打撃を行い、打撃フォームを確認していたのは、42歳のベテラン・松井稼頭央だった。20日の特守では、外崎修汰が二塁のポジションでノックを受けたが、その1時間近くにわたって、辻発彦監督が付きっきりでアドバイスを送っていた。

 選手の特色が違えば、強化すべきポイントや、練習のやり方は、それぞれ違って当然だ。野手陣をみても、多彩な顔ぶれが揃っている。捕手は炭谷銀仁朗と森友哉、一塁にはエルネスト・メヒアと山川穂高、二塁に浅村栄斗、遊撃に源田壮亮、三塁に中村剛也。外野にも金子侑司、秋山翔吾、栗山巧。ここに内外野兼任のユーティリティー・外崎修汰、三塁と左翼を守る松井稼頭央がいる。西武担当として、宮崎と高知のキャンプを継続して視察してきたオリックス・渡辺正人スコアラーは「それぞれの役割がはっきりしていて、しかも、それを果たせる選手が揃っていますよね」と分析する。

 昨季のチーム打率・264、660打点はパ・リーグでトップ、153本塁打も同2位の数字を誇る。高い攻撃力を持つ“個の強さ”を伸ばし、束ねていくことがチームの強さにもつながる。清原和博、秋山幸二、伊東勤、辻発彦と、個性的なタレントが活躍していたかつての黄金期も、まさに「強い個の集まり」だった。個別重視の練習一つにも、西武というチームの意図が見えてくる。

 不安は、昨季11勝の野上亮麿がFA巨人へ、アンダースローのセットアッパー牧田和久が米パドレスへ移籍し、先発、救援ともに大きな穴の空いた投手陣だろう。一昨年もエースの岸孝之がFAで楽天へ移籍しており「毎年、誰かが抜けるから、毎年また、誰かを作っていかないといけないんです」と土肥投手コーチ。

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投手陣は不安が残るが…