病院のご遺体はみんな重たい。みんなむくんでます。パンパン。家のご遺体はみんな軽い。むくんでません。きれいなお顔ですね。

 抗がん剤、点滴、延命治療……。私はやるなとは言ってません。やっていい。でも、いやだったらやめればいい。やるやらないではなく、いつやめるのかという問題なんです。延命治療をやめるタイミングはわかりにくいですから、患者さんのほうから「今かな?」って言ってほしいんですね。クエスチョンがついてていい。お医者さんもよくわからないですから、何度も話し合って、家族も含め、そして納得のいくやめ方をしてほしい。それをしないと平穏死は難しいんじゃないかと思います。

 では、平穏死させてくれるお医者さんをどう探せばいいのかと、よく質問を受けます。

 自宅で最期まで診てくれる在宅医療は、ふつうの町医者、開業医でもしてくれるところはありますが、24時間対応してくれるのは在宅療養支援診療所です。この診療所は、1年間の看取りの実績、往診の実績を厚生労働省に届け出なければならない。看取りと往診をしっかりやっていることが条件なんです。

 看取りの実績が多ければ多いほどいいわけではないですが、ある程度最低ラインはあります。やはり年に10人、都会であれば20人は看取りをしている診療所が望ましいかなと思っています。

 それに自宅から近いことも大事です。近くないと往診が間に合わない。16キロ圏内でないと在宅医療ができないことになっています。あとは医師との相性も大事です。外来で何回か診てもらって確認するのも一つの方法です。

 最期になってあわてて、いいお医者さんはいないかと探すのではなく、事前に調べておいたほうがいいですね。

(構成/医療健康編集部・杉村健)