一塁にはT-岡田、ライトにステフェン・ロメロ、レフトに吉田正尚、三塁は小谷野栄一と中島宏之を併用し、DHにクリス・マレーロ。この破壊力十分の中軸打線は他球団にとって脅威だ。ただ、守りを引き締め、この中軸たちを引き立てるための「つなぎ役」が決まらない。そのタレント不足な現状は、坂口智隆(現ヤクルト)、大引啓次(現ヤクルト)といったセンターラインを担う中心選手をあっさり放出し、糸井嘉男(現阪神)もFA移籍させてしまうなど、将来の展望を欠いたこれまでのチーム編成のバランスや見通しの悪さにも原因がある。

「中軸のところはいますからね。ホント、あとはその“周り”のところなんです」と福良監督。直近の優勝は1996年。12球団で最も優勝から遠ざかっており、21世紀に入ってから日本シリーズに進出していない唯一の球団である。その“屈辱の歴史”に終止符を打つための投手陣と、破壊力のある中軸打線はそろえることができた。残る課題は、もはやはっきりしている。

「センターラインを固めることができれば──」

 そうなれば、前評判のいい時はコケるという“オリックスあるある”を覆すことができるかもしれない。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス、中日ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。