そうなると重要なのはNPBのレベルに近い投手と対戦できる球団であることと、3の首脳陣がポイントとなってくる。以上を考えたうえで、四国でおすすめしたいのが高知だ。まず対戦する投手では愛媛にプロでも実績のある正田樹(前ヤクルト)が在籍している。また、今季徳島に入団する鎌田光津希は、敬愛大で下級生の頃から140キロ台後半のストレートを投げていた本格派だ。上級生になってからは故障に苦しんだが、今季の活躍次第ではドラフト候補に浮上してくる可能性も高い。

 彼らと対戦するためには残りの2チームとなるが、過去に藤川球児(阪神)、メジャーリーグで活躍したマニー・ラミレスが所属しており、球団に大物選手とやりとりするノウハウがある点で高知とした。監督の駒田徳広は2009年に横浜のコーチとして村田と接点があり、当時の村田の態度の悪さを揶揄するような報道も過去には見られたが、自身のブログでは巨人移籍後の村田を気遣うコメントも見せている。晩年に起用法に苦しみながら2000本安打を達成した駒田の存在は村田にとってもプラスとなるだろう。

 一方のBCでは福島を推したい。対戦機会が多い同じ東地区の武蔵には楽天戦力外になった片山博視が入団し、過去2年にドラフト候補に挙げられていた150キロ右腕の村田陽春も所属している。また同地区では他にも前田大佳、橋詰循(ともに栃木)、長谷川凌汰(新潟)などプロから注目されている投手が所属している。監督が2009年のWBCでともにプレーした岩村明憲で、巨人時代の同僚であるボウカーが在籍しているということも村田にとって良い刺激となるのではないだろうか。

 NPBの球団を退団し、国内の独立リーグを経て復帰した例は決して多くはない。そこからさらに一軍の主力となった例はほとんどないと言ってもいい。しかし、その数少ない例が同学年の藤川であることは村田にとっても励みになることだろう。松坂世代で最初の名球会入りまであと135安打。達成までの道は険しいが、この危機を乗り越える村田の再起に期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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