今年からエースナンバーの背番号「18」を背負う武田翔太 (c)朝日新聞社
今年からエースナンバーの背番号「18」を背負う武田翔太 (c)朝日新聞社

『質』も『量』も、いまや他の11球団の追随を許さない。ソフトバンクの現有戦力をそう表現しても、決して大げさではないだろう。「ホント、どれだけ戦力がおるねんって思いますよ。新戦力のチェックをするだけでも大変です」と宮崎・アイビースタジアムのネット裏で目を白黒させていたのは、オリックスでソフトバンクの分析を担当する吉田直喜スコアラーだった。

 第4クール3日目の2月17日、今キャンプ初の紅白戦が行われた。“普通の球団”なら、この時期の初実戦では、まず期待の若手や1軍当落線上の選手たちの見極めがメーンで、出場する選手も若手が中心だ。ところが、ソフトバンクは全く違う。紅組の先発は来日4年目の右腕・バンデンハーク。一方の白組は、昨年のWBC日本代表メンバーで、今年からエースナンバーの背番号「18」を背負う7年目の武田翔太。先発ローテーションを担う主力の2投手がのっけから先発マウンドに上がったのだ。

「バッター相手には久しぶりだったね。野球が楽しくやれたよ」と身長198センチの助っ人は152キロの剛球も披露して、2回を無失点。武田の方も2回1失点ながら自責は0。順調どころか、これでは若手投手のつけいるスキすら見当たらない。

 野手陣も紅組の遊撃には今宮健太、三塁には松田宣浩、一塁に内川聖一、二塁は明石健志、右翼は上林誠知、捕手は甲斐拓也、白組の4番には柳田悠岐が座り、3番には中村晃とくれば、もはやシーズン中と遜色ない顔ぶれだ。

 キャンプイン前日の1月31日。工藤公康監督は全体ミーティングで内川、松田、今宮、中村晃、柳田、デスパイネの6人の「レギュラー確定」を公表。つまり現時点で競争するポジションは、二塁、右翼、捕手の3つだけ。さらに先発ローテーションも、名前こそ挙げなかったが「5人は決まっている」と東浜巨、千賀滉大、和田毅、バンデンハーク、武田の当確を示唆して「実績のある人間は横一線じゃない」と指揮官。格、実績、そして野球への姿勢。そうした要素を指揮官が認めたそのレギュラーたちが、今年初の紅白戦からエンジン全開でバリバリ動いてみせる。それがソフトバンクの“すごみ”だろう。

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激しい競争が強さの秘訣