松坂大輔の“尋常じゃない伝説” 打ち破った数々の常識 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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松坂大輔の“尋常じゃない伝説” 打ち破った数々の常識

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西尾典文dot.
中日での復活を期す松坂大輔(c)朝日新聞社

中日での復活を期す松坂大輔(c)朝日新聞社

 松坂の二桁勝利は江夏豊(阪神など)以来32年ぶりの快挙だったのだ。松坂以降も、高校卒で二桁勝利をマークした選手は田中将大(ヤンキース)、藤浪晋太郎(阪神)の二人にとどまっているが、他にもダルビッシュ有(カブス)、涌井秀章(ロッテ)、前田健太(ドジャース)、大谷翔平(エンゼルス)などは2年目から中心選手となっており、高校卒の投手の完成度が上がっていることがよく分かるだろう。

 そして、忘れてはならないのが国際大会での活躍だ。野球の日本代表チームは公開競技だった1984年のロス五輪で金メダルを獲得して以降、世界の舞台で優勝することはなかった。松坂自身も初めてプロ選手の参加したシドニー五輪と4年後のアテネ五輪では悔しい結果に終わっている。しかし2006年に初めて行われたWBCでは3戦3勝で日本代表の初代王座獲得に大きく貢献しMVPを獲得。続く2009年の第2回大会でも3戦3勝をマークして、チームを連覇に導き2大会連続MVPに輝いたのだ。この2大会以降、残念ながら優勝は逃しているものの、国際大会ではなかなか勝てないという印象はかなり薄れているのは確かである。これもまた松坂の大きな貢献と言えるだろう。

 西武での8年間で通算108勝をマークした松坂は2007年にメジャー・リーグに移籍することとなったが、この時に話題となったのがポスティングシステムだ。それまでもイチローや石井一久などもポスティングシステムで海を渡っているが、松坂の時の譲渡金は当時のレートで60億円以上という破格のものだったのだ。その後もダルビッシュが同等額の譲渡金で移籍を果たしているが、高額での移籍のパイオニアもまた松坂だったと言えるだろう。このことがきっかけで譲渡金の高騰を懸念したMLB側の要望もあり、2013年からはその上限が2000万ドルに設定されることとなった。

 改めてこうして見てみると、松坂が現在の野球界に与えた影響というのがいかに大きいかが分かるだろう。そして今季は3年にも及ぶ長期ブランクからの復活にも挑んでいる。可能性は決して大きいとはいえないが、もし鮮やかな復活を遂げることになれば、これもまた新たな「松坂伝説」となるだろう。そしてそれを期待しているファンはきっと少なくないはずだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。


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