団体戦・フリーでは冒頭予定していた3回転フリップ―3回転トゥループが単独になるミスをしてしまったが、後半にきっちりリカバリーしてきた。練習ではトリプルアクセルも降りているという坂本は、後半に質のいいジャンプを跳ぶことができる運動能力の高いスケーターなのだ。

　団体戦後「どのジャンプも自分のジャンプじゃなかったのですごく悔しいです」とコメントしている坂本だが「個人戦ではこういうミスがないようにもっと練習していけたらいい」と意気込みも見せている。平昌五輪代表選考がかかった昨年末の全日本選手権・フリーで、ショート首位・最終滑走の重圧に打ち勝った精神力も持つ坂本には、平昌の大舞台でも持ち前のスピード感あふれる滑りで伸び盛りの勢いを見せてほしい。四大陸選手権を制した坂本が平昌でも持てる力を発揮すれば、世界にそのはつらつとした魅力を知ってもらうことができるだろう。

　ロシア勢の強さは圧倒的だが、五輪出場枠をめぐる熾烈な戦いを勝ち抜いた日本の二人には、それぞれの力を出し切る滑りを期待したい。（文・沢田聡子）

●プロフィール
沢田聡子
1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s　arena」