■サガン鳥栖 C

 新戦力の少なさから補強の評価はCとしたが、マッシモ・フィッカデンティ監督の戦術をさらに浸透させる意味で、韓国Kリーグの蔚山現代に移籍したFW豊田陽平を除けば、既存戦力をほぼ残留させられた事実を高く評価するべきかもしれない。無論、それが正解かどうかは開幕後のパフォーマンスにかかっている。中盤の新戦力である高橋秀人(←神戸)は戦術理解力が高く、FC東京時代に指揮官の指導を受けたアドバンテージもある。ボランチの主力で運動量が豊富な同姓の高橋義希とは違った持ち味でチームを底上げできる存在だ。パンチ力のあるキックが自慢の安在和樹(←東京V)はサイドバックからの積極的な攻撃参加で、鳥栖にさらなるクロスからの得点をもたらすことができる。

■V・ファーレン長崎 C

 初の昇格シーズンであることを考えればBは付けたいが、攻撃陣を引っ張れる主力候補が欲しかったところ。それでも鈴木武蔵(←新潟)、ベン・ハロラン(←ハイデンハイム/ドイツ)とポテンシャルは高く、ディフェンス陣に加わった地元出身の徳永悠平(←FC東京)は精神的支柱としても期待される。激しい競争が起こりそうなのは中盤で、黒木聖仁(←甲府)を筆頭に中原彰吾(←G大阪)もレギュラー奪取の実力はある。ただ、戦略家の高木琢也監督とはいえ、初のJ1だけに開幕から戦っていく中で試行錯誤があるのは間違いなく、4バックと3バックを使い分けながら常に競争意識を促していくはずだ。ベテランの中村北斗(←福岡)にも期待したいが、J3で異彩を放った19歳の攻撃的MF名倉巧(←琉球)は技術が高い上に独特のリズムがある。起用次第では残留の”秘密兵器”にもなり得る。(文・河治良幸)

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