◎1872年2月/アメリカ・ワシントン


アメリカの国務長官に「条約改正について話し合うのなら、日本の正式な代表である天皇の委任状が必要です」と言われる。それが近代化した世界の常識か……。

<ちびメモ>
天皇の委任状がないことを指摘され、大久保利通と伊藤博文はあわてて日本に委任状を求めて帰国。だが、2人が再びアメリカに戻ってきたのは4カ月後。国際外交のルールをまったく知らなかったことにショックを受ける。

◎1872年7月/イギリス
製鉄所や造船所などイギリスのいたるところにさまざまな製品をつくる工場がある。工業製品だけではなく、食品までもつくっているなんて!

<ちびメモ>
イギリスでは汽車が走り、鉄道網が整備されているのに仰天。当時の日本は道路の舗装がまだされておらず、道で走っているのは人と馬だったからだ。またイギリスのような近代的な工場も日本にはなかった。

◎1872年8月/イギリス
トラブル発生! 銀行関係者という人からお金を預けないかと言われる。預けたお金に利子がついてもうかるという話だったが、なんとその銀行が倒産! お金も戻らない。

<ちびメモ>
銀行に預けたお金が産業(企業)を発展させる資金になるだけでなく、預けた人も利子によってもうかるしくみの銀行は、当時の日本には存在していない。利益とリスクが表裏一体となっている金融経済の恐ろしさを実体験した。

◎1873年3月/ドイツ・ベルリン
ドイツの宰相(皇帝の補佐役)ビスマルクの夕食会に招かれる。2年前に国家を統一したばかりのドイツ。大国に追いつこうとする過程を目の当たりにした。日本が一番参考とすべき国かもしれない。

<ちびメモ>
ビスマルクは小国に分かれていたドイツを統一し、イギリスやフランスと並ぶ強国に育て上げた宰相。「ドイツの統一は鉄(武器)と血(兵士)によってこそなされる」という演説をしたことから鉄血宰相と呼ばれる。

【研究レポート】
<「世界の工場」といわれるのはなぜ?>
イギリスの発展を支えている「貿易」にも注目だ。例えば、世界各地にある自国の植民地などから綿花や羊毛などさまざまな原材料を安く仕入れ、国内の工場で綿織物や毛織物を大量生産。それをまた国外で売ってもうけている。

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