破産しないように教育費をやりくりするには…(※イメージ写真)
破産しないように教育費をやりくりするには…(※イメージ写真)
荻原博子/1954年、長野県生まれ。経済事務所に勤務後、82年にフリーの経済ジャーナリストとして独立。難しい経済と複雑なお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説することに定評がある。著書に『隠れ貧困』(朝日新書)、『10年後破綻する人、幸福な人』『投資なんか、おやめなさい』(共に新潮新書)など。テレビ出演や雑誌連載も多い
荻原博子/1954年、長野県生まれ。経済事務所に勤務後、82年にフリーの経済ジャーナリストとして独立。難しい経済と複雑なお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説することに定評がある。著書に『隠れ貧困』(朝日新書)、『10年後破綻する人、幸福な人』『投資なんか、おやめなさい』(共に新潮新書)など。テレビ出演や雑誌連載も多い

 教育費が重くのしかかり、家計が回らなくなる家庭が増えている。

【教育ローンは怖い… 警鐘を鳴らすのはこの人】

 その背景には大学の授業料の高騰がある。文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」によれば、国立大学の年間授業料は53万5800円。1975年と比べるとなんと15倍にまで値上がりしている。私立大学の授業料は、それよりも高額だ。平均授業料は86万4384円。月額にならすと7万2000円ほどになる。子どもが一人ならまだしも、二人三人となると一般家庭にとってはかなりの負担だ。

 実際、大学では経済的な問題を理由にした退学や休学が増えているそうだ。文部科学省の大学調査によれば、経済的理由で大学を退学する学生が、国立大学で6.8%、公立大学で6.7%、私立大学では11.3%いるという。また、経済的理由も含まれているであろう「一身上の都合」と「就職」の合計は、国立大学33.3%、公立大学で36.2%、私立大学で26.4%にのぼった。

 教育ローンは怖い――。そう警鐘を鳴らすのが、『老前破産 年金支給70歳時代のお金サバイバル』(朝日新書)の著者である荻原博子氏だ。荻原氏が本書の中で綴った、教育費によって破産を迎えた男性のモデルケースを見てみよう。

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 新潟県に住む吉川さん(仮名)は、60歳の定年を前にして自己破産の道を選んだ。その大きな原因となったのは、子どもの教育費だった。

 現在55歳の吉川さんが、2つ年下の妻と結婚したのは27歳の時。吉川さんの年収は300万円、奥さんは250万円。2人あわせて550万円の年収は、同世代の他の家庭と比べて高収入だった。その後、夢のマイホームを購入し、長女、次女、長男の2女1男の3人の子どもに恵まれた吉川さんは、多忙ながらも、幸せを噛みしめる日々を送っていた。

 とはいえ、3人の子育ては楽ではない。特に、フルタイムで働きながら、家事と育児をメインで担当する妻にとっては目の回るような日常だ。よく子どものことで喧嘩もしたが、それはそれで楽しい日々だったという。

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吉川家に決定的な亀裂ができたのは