現金でチケットを買おうとしたが、会場では両替所は見当たらず、ボランティアに尋ねると、「会場にはない。街の銀行に行けばできるかもしれないが、今日は休日だから休み」と突き放された。

「ネットではスピードスケートのチケットが売っていましたが、5万円ほど。開会式も8万円で売買され、庶民には高嶺の花。一度も試合を見ることなく、帰ることになりそうです(笑)」(前出の日本人観光客)

 おまけに平昌は寒さとの闘いとなる。気温は零度を下回り、ボランティアスタッフやタクシーの姿も午後5〜6時には、見当たらなくなり、メインオリンピック会場の最寄り駅である「珍富(ジンブ)駅までのシャトルバスもなかなか見当たらない。

 多くの外国人観光客が、シャトルバスやタクシーを探し求めるも、乗り場がわからず、右往左往。30分待つことはざらで、乗れても運転手には英語がまったく通じず、孤立。「心も身体も限界を迎えた」(前出の日本人)という。

 フィンランド人の女性も「フィンランドよりも寒さが厳しい」と話す。

 ボランティアスタッフが1000人やめたと報じられたことについて、現地で働いているボランティアに尋ねると、こう答えた。

「寒い、食事がおいしくない、宿泊の環境が良くない、そうした原因でやめることがあると聞いています。僕達のチームは、皆仲が良く、駅の中での仕事なので幸い、寒くない。宿泊施設は車で1時間以上のところですが、悪くはないです。2チームに分かれて、朝7時〜15時頃までのチームと、15時〜0時頃まで働いています」

 この先が思いやられる。(田中将介)