5年に1度、国勢調査などを基につくられる厚生労働省「都道府県別生命表」。これによると、2015 年都道府県別の平均寿命(17年12月発表)は、女性2位が岡山県(87.67歳)、3位が島根県(87.64歳)だった。AERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、この生命表から「長寿県」が多い中国地方に注目。岡山、広島、島根の医学部に訪れ、最前線医療の取り組みを取材した。ここでは川崎医科大学を紹介する。

*  *  *
 川崎医科大には全国の医科大学で唯一、附属高校がある。

 高校の場所は、川崎医科大学のキャンパスから車で10分くらい。木々に囲まれた自然あふれる場所に、陸上トラックや野球場を併設した約310平方メートルの広大な敷地が、突如、目に入り込んでくる。校舎棟や体育館のほかに、男女別の学生寮も併設している。

 同校の新井和夫校長は、こう説明する。

「川﨑祐宣医師が川崎医科大学を創設するときに、全寮制の附属高校も同時に開校しました。9年間一貫教育で良医を育成したいと考えたからです」

 今までの卒業生1646人のうち約9割が川崎医科大学に内部進学。他大学の医学部も含めると、約94%が医学部に進学している。

 1学年の定員は35人で、附属高校の推薦入試の枠は約30人。現在は1年生28人、2年生22人、3年生23人なので、計算上は全員が医学部に進学できるが、英語、数学、理科の試験に小論文、面接が課され、不合格になることもある。不合格者は翌年に限り、推薦入試を再度受験できる。

「医学部に進学したい生徒が集まっているため、数学と理科、英語の授業時間が多い。理科は2科目の入試が一般的ですが、推薦入試では医学部進学者が学ぶべき生物、物理、化学の3科目を受験します。月曜から金曜の19時15分から22時30分までは、学習室で一斉に自習をし、質問を受けるための講師もいます。土曜の午後は習熟度別の補習を行い、学力をつけます」(新井校長)

次のページ
独自のプログラム「ドクターロード」とは?