競技団体の報奨金が用意されていないのが、カーリング、アイスホッケー、バイアスロンなど。世界の壁が高く、日本はメダル獲得の経験がない競技だ。

 一方で、銅メダルでも獲得すれば歴史的な快挙で、話題になるのは確実。仮にそうなった場合のことをたずねると、いずれの競技団体も報奨金を検討する可能性があると回答した。平昌では、女子カーリングで上位入賞が期待されている。初メダル、初報奨金のWゲットなるか。

 金額がケタ違いなのが企業からの報奨金だ。夏季五輪では、2004年のアテネ五輪で2大会連続の金メダルを獲得した谷亮子が、当時の所属先であるトヨタ自動車から1億円のボーナスが支給された。

 平昌では、ドーム社の安田秀一CEOが、スポンサー契約を結ぶ竹内智香に「金メダルなら3333万円」と約束したと報道されている。竹内は、ソチではスノーボード女子パラレル大回転で銀メダルを獲得。もう一段高い表彰台に立つことができるか。

 長野県下諏訪町に本社を置く「日本電産サンキョー」は、スケート部所属の長谷川翼、ウイリアムソン師円、高木菜那の3選手が出場する。同社の永守重信会長は、ソチの時は「金2千万円、銀1千万円、銅600万円」のボーナスを約束して、世間を驚かせた。平昌でも方針は同じなのかを同社にたずねると「金額は公表していませんが、報奨金は払うことになっています」とのこと。前回と同じ水準の金額が用意されていると思われる。

 急な収入増で気になるのが、税の問題。報奨金をもらっても、税金の支払いで消えてしまえば喜びも半減してしまう。それもご心配なく。国税庁の担当者によると「JOCからの報奨金は所得税法の規定で非課税になります」という。

 ただし、各競技団体の報奨金については「非課税となるのは300万円まで」(同)とのこと。つまり、日本スケート連盟の報奨金500万円のうち、200万円は課税対象となる。そのほか、スポンサーや所属企業からの報奨金は一般的な「収入」とみなされ、すべて課税対象になるそう。メダリストを優遇する制度はあるものの、すべてを非課税にするのはさすがに難しいようだ。

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メダル獲得で出世の道も拓ける?