確かに韓国求人サイト「アルバ天国」が今年1月に行ったアンケートを見ても、「平昌五輪に関心がある」との回答が77.6%で、以前よりは関心が高まったことを感じさせる。

 ただ、韓国メディアが連日報道しているのは、北朝鮮の平昌五輪参加による政治的意図や市民らの反応、韓国入りした「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」の玄松月(ヒョン・ソンウォル)団長や北朝鮮選手団のルックスと言動など、北朝鮮に関するニュースばかり。

 1月23日に江原道メインプレスセンターで行われた開・閉幕式メディアブリーフィングでは、国内外の記者から北朝鮮や南北合同チームに関する質問ばかり繰り返された。大会の見どころや注目選手、競技の魅力などはなかなか目にすることができず、世間では平昌五輪ならぬ「平壌(ピョンヤン)五輪」と囁かれるほどである。

「北朝鮮の参加を賛成する人々が多いのも事実。大会期間中は半島の平和が保証されるわけですから。ただ、女子アイスホッケーにしても、アルペンスキーにしても、ショートトラックにしても、北朝鮮は出場資格を正当に勝ち取ってはいない。にもかかわらず政治的決断が多分に働いた特別扱いで平昌五輪に出場できることに嫌気を感じる者たちも多い。オリンピック精神に反するのではないか。そんなネガティブな見方もあるんです」(ソン・ジフン記者)

 そうした話題先行型の“北風”に負けじと、韓国の組織委員会もさまざまなマーケティング活動を展開して、平昌五輪を盛り上げようと躍起だ。前出のソン記者も言う。

「現在、微力ながらオリンピックの雰囲気を醸し出しているのが、スターを多数起用した聖火リレーと、マスコットキャラクターを活用したマーケティングです」

 昨年11月から行われてきた聖火リレーは、まさにスターたちがめじろ押しだった。過去の五輪メダリストはもちろん、女子プロゴルフのイ・ボミ、K-POPアイドルのスジ、さらには韓流スターのチャン・グンソクなど多くの著名人が投入された。

 白虎の“スホラン”とツキノワグマの“バンダビ”といった大会公式マスコットも大活躍。16年6月の発表時は「どこか残念なキャラ」と厳しい指摘もあったが最近は人気で、今年1月に発売されたマスコット人形のニューモデルは1週間で4万セットも売れたという。

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関連グッズは好調だが…