いざオープンしてみると、先輩芸人たちがテレビでたむらの店を面白おかしくイジり始めた。いい宣伝になると考えてこれを受け入れ、後輩芸人にも「ウチで食べて『うまい』って言うな」と告げた。すると、後輩たちもテレビで平気でたむらの店の悪口を言うようになった。テレビで芸能人が「まずい」とはっきり言える飲食店など普通では考えられない。これがテレビマンの間でも面白がられるようになり、たむらの店には取材が殺到した。

 そして、メディアで噂を聞きつけて店を訪れた一般客は、いざ食べてみると「意外とおいしい」と感じることになり、好印象を持つようになる。まずい店だというイメージをあえて広めることが、最高の宣伝になっていたのだ。

 また、この店のオリジナル商品として売り出したレトルトカレーも大ヒットした。こちらは、もともと店で余った肉でまかない用のカレーを作ってみたところ、あまりにもおいしいからと商品化したものだった。現在では大阪みやげの定番商品になっている。

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たむらのビジネスが軌道に乗った理由とは?