たむらは焼肉店の経営者としては有名だが、芸人としては今ひとつパッとしないというイメージを持っている人も多いかもしれない。だが、大阪を拠点に活動する彼は関西で多数のレギュラー番組を持つ売れっ子である。先輩にかわいがられ、後輩に慕われる天性の「人たらし」であるたむらは、その社交性を生かしてお笑い界でも確固たる地位を築いている。

 彼がいかにして焼肉店経営で成功したのかについては、著書『なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか?』(ワニブックス)の中で詳しく語られている。ひょんなことから義母が経営していた焼肉店を引き継ぐことになったたむらは、自分なりに戦略を立ててその店をリニューアルオープンすることにした。

 開店にあたって最もこだわったのは肉の質である。彼は食肉工場に出向き、交渉を重ねて安価で良質な肉を仕入れることに成功した。また、意外と神経質な一面もあるたむらは、割り箸やおしぼりに至るまで相見積もりを取り直し、徹底的なコストカットを実現させた。また、店ではあえてタレントとしての自分の顔を出さず、内装もシンプルでシックなものに統一した。

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いざオープンしてみると…