だが、組織内では不満がたまっている。昨年11月22日に開かれた国税庁幹部と労働組合の話し合いの場では、現場の国税庁職員に佐川氏への批判があることを念頭に「現場において納税者から様々なご意見がよせられていることも承知している。(中略)年明け以降ご苦労をおかけすることとなる」(佐川氏)と弁明せざるをえない状況に追い込まれた。

 間もなく確定申告の時期を迎えるが、財務省への信頼は地に堕ちた。ある財務省OBは、「自分たちが現役の時代、国会でこんなひどい答弁を言わされることはなかった」と憤る。今回の文書公開も、安倍政権をかばいきれなくなった財務省の反乱ではないかとの推測もある。

 これまで与党が拒否してきた佐川氏の国会への参考人招致についても、風向きが変わりつつある。公明党の井上義久幹事長は2日、記者会見で「基本は現職の理財局長がしっかりと答える。その上で、特別なことがあれば、現場で協議していただきたい」と、佐川氏の国会招致の可能性に言及した。

 はたして財務省は、籠池氏や秘書を通じ、昭恵夫人とどういうやり取りをしていたのか。佐川氏が再び国会にやって来て、過去の答弁をひっくり返す日は来るのか。(AERA dot.編集部・西岡千史)