もっとも、この勢いがこのまま続くとは限らない。近年の米国ではケーブルテレビ離れが進み、ネットフリックスなどのネット配信の番組視聴者が急増。スポーツ放映もストリーミングサービスが徐々に浸透している。

 その中でもライブの視聴者が断然多いスポーツ中継は依然としてケーブル会社には貴重なコンテンツであり続けているが、加入者減、スポンサー離れが徐々に影響してくる可能性は否定できない。

 また、2016年の新労使協定で贅沢税の税率が厳しくなったこともあり、今オフはヤンキース、ドジャースなどが緊縮財政を展開している。それが原因で、ダルビッシュ有をはじめとする大物FA選手の交渉が遅れがちなのはご存じの通り。今オフはダルビッシュの他、カブスからFAの先発右腕ジェーク・アリエッタなど目玉選手の去就がいまだ決まっていないのは異変と言えよう。

 1年後のオフにはブライス・ハーパー(ナショナルズ)、マニー・マチャド(オリオールズ)、ジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)、ダラス・カイケル(アストロズ)といった大物が一斉にマーケットに出るため、再び活況を呈するだろう。前述通り、ハーパー、マチャドなどは史上初の4000万ドル契約を受け取るかもしれない。

 ただ、これを最後のピークに、風向きが少しずつ変わり始めることも考えられる。トップ選手の年俸が下降線を辿ることこそ考え難いものの、4、5年後の各チームの給料総額は想像しづらい。そういった意味で、スポーツとテレビの関わりの変化を契機に、MLBのビジネスもターニングポイントに近づいていると言えるのかもしれない。(文・杉浦大介)