人通りの少ない街角にいる女性たちの目的は……(撮影/丸山ゴンザレス)
人通りの少ない街角にいる女性たちの目的は……(撮影/丸山ゴンザレス)

 世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレス。取材やインタビューの基本は英語。ブロークンであるがゆえに、恐ろしくも奇妙で日常生活ではまず使うこともないようなやりとりも生まれてしまう。そんな危険地帯で現地の人々と交わした“ありえない英会話”を紹介する本連載、今回は大都市ニューヨークの闇についてレポートする。

【記事のイラストをみる】アメリカでは「売春婦」をなんて言う?

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 世界の巨大都市と呼ばれる場所はいくつかある。代表的なのは、ロンドン、パリ、ロサンゼルス、そしてニューヨークだろう。なかでもニューヨークについてのイメージを集めていくと、最先端の文化、アート、ファッションなどなど、とにかく明るい話題に事欠かない。

 だが、街の裏側を調べることが多い私としては「ニューヨークには売春婦が多い」と実感している。しかし、まわりの日本人にそれを言ったところ、多くの人から「どこに?」「いやいや、見たことない」と返された。アンダーグラウンドなビジネスとはいえ、商売である以上、別に圧倒的に見つからないような場所に隠れているはずもない。単に観光地から離れた場所に多くいるというのが私の予想だった。実際どうだったのかを今回レポートしようと思う。

 ブルックリンの港湾地区あたり、マンハッタンを対岸に眺める倉庫街をアメリカ人の友人と訪れた。

「Do you know BAISHUNFU? This is a woman, she is selling herself on the street in Japan. What do you call this kind of woman in America?」(「売春婦」って知ってる? 日本では路上で体を売る女性のことなんだけど、アメリカではなんて言うの?)

「A prostitute. However, this is not our general term.」(「prostitute」だね。でも俺達はそんな言い方しないね)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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