こうしたインスタグラムでの写真公募の場合は、一般の写真コンテストとはちょっと感覚が違っている。つまり、写真コンテストが写真の技術やセンスを重視しているのに対し、インスタグラム利用の写真公募は写真を集めること、または写真を通して主催者がPRしたいものや場所の宣伝を重視している。そうなるとやはり効率のいい写真素材集めに消費者が利用されているといわざるを得ない。

 もちろん「権利とかナントカァ、そんなことよくわからないしぃ、インスタで『いいね』をたくさん貰えれば楽しいじゃん」という人もいるだろう。ならば極端な例だが、もしもあなたが応募時点で著作権を取られてしまうコンテストに自信作を応募したとしよう。後日その自信作を自分のアカウントや自身のウエブサイトに載せたとする。すると今度は写真を応募した主催者から著作権の侵害であなたが訴えられる。そんなことも起こりうるのだ。

「インスタ映え」に隠されたやんわりとした権利の取り上げ。手軽すぎるくらいに誰でも写真が撮れて、そして発信者になれる。そんな時代だからこそ、それにまつわる権利についても少し意識を高めてほしい。

(文・写真 写真家・公益社団法人日本写真家協会会員/渡部晋也)