この回、先頭のアマダーが上原健太の初球、141キロ直球を完璧にとらえ、左翼席上段に特大の先制ソロ。

「美馬の10勝目がかかっていたので、先制点が欲しかった。甘いボールをしっかり叩けた」という援護弾は、アマダーにとっても、来日2年目にして初めて達成したシーズン20号目。同時にプロ野球史上初の快挙が実現した瞬間でもあった。

 楽天はウィーラーが27本塁打、この日足の不調を訴えて欠場したペゲーロが25本塁打を記録しており、これにアマダーの20本塁打が加わると、史上初の同一球団の外国人選手3人が20本塁打以上で揃い踏みというわけ。

「3人で記録を作れたのはうれしく思う。楽天でプレーできる喜びを感じている」(アマダー)

 だが、梨田昌孝監督は「3人が20発は初めて?」と目を丸くしながらも、「本当は30本ずつ打ってほしかったんだけどね」と欲張りなコメント。

 指揮官の要望には応えられなかったものの、最終的にウィーラー31本、ペゲーロ26本、アマダー23本と3人合わせて80本塁打。チーム本塁打数95本のヤクルトロッテにとっては、なんとも羨ましい話だった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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