特にタタは、アジアの主要なメーカーとしてだけでなく、傘下のジャグワーとランドローバーを使って、英国国内で自動運転技術のテストを大規模に進めており、その進捗(しんちょく)に関する発表が期待される。また、インド市場では舗装、信号機、歩道整備といったインフラ整備を「自動運転を前提に」進めることで自動車先進国とは異なったアプローチを計画しているが、その話題も気になるところだ。

 更に、このシンガポールでのイベントの特徴は、各国の交通行政に関わる閣僚級が参加して、自動運転車に関わる各国の立場を表明するということだ。キー・ノート・スピーカーとしては、ハンガリーのラゾロ・パルコヴィクス内相が「自動運転の未来におけるハンガリーの役割」について講演する。また、地元であるシンガポール政府からは、クリス・レック運輸相が登壇し、「シンガポールにおける自動運転のロードマップ」と「公的交通機関と自動運転車のインテグレーション」について発表する予定だ。

 閣僚級ということでは、台湾、マレーシア、インドネシアからの参加もあり、業界ということでは、オーストラリア、タイなどからの参加もある。それぞれに「自動運転車」という交通革命を、自国の「チャンス」とすべく戦略的な動きをしている様子が報告されると思われる。

 例えば、マレーシアからは「商用車の自動運転化」について、タイからは「スマートシティ構想と自動運転」、オーストラリアからは「シドニー市における自動運転実験の成果報告」などが発表される。

 こうした講演の他に、テーマ別のシンポジウムも行われる。その内容だが、

「自動運転時代に必要な社会制度改正のロードマップ」
「自動運転に関わるAIデータのセキュリティ」
「自動運転の最新技術」
「自動運転が社会的に受容される道筋作り」
「公道への自動運転車受け入れインフラに関する討議」

 といった具体的なもので、これからの自動運転時代を切り開くための社会改革について、当事者である関連企業と、会計事務所、保険会社、各国の監督官庁などが知恵を集める場になるのだろう。

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