週刊文春』で看護師との不倫疑惑が報じられた音楽プロデューサー・小室哲哉(59)が19日、記者会見を開き、「けじめとして引退を決意しました」と発表した。小室は2002年にglobeのボーカル・KEIKO(45)と結婚。11年にKEIKOがくも膜下出血で倒れて以降、6年間、献身的にKEIKOを介護してきた。

 小室によると、「大人の女性としての会話のコミュニケーションが日に日にできなくなって、かわいそうな気持ちもあった。そこを諦めてはいけないことが、精神的なサポートというのは、重々承知していた」とも語り、「3年ほど前から疲れ始めてきたことはあったと思います」と心境を告白した。

 KEIKOを襲ったくも膜下出血は、主に脳の動脈の分岐部にできる脳動脈瘤が破裂して起こるが、約3分の1は死亡、約3分の1は後遺症が残る。治療法は開頭術か脳血管内治療だ。週刊朝日ムック「脳卒中と心臓病いい病院」から、原因や症状、後遺症を解説する。

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病気 自覚症状はほとんどなく突然破裂する

 頭蓋骨(とうがいこつ)と脳の間には3種類の膜があります。頭蓋骨に密着している硬膜、その下にあるくも膜、さらに下にあり脳表面に密着している軟膜です。軟膜とくも膜の間の隙間(くも膜下腔)に脳脊髄(せきずい)液があり、脳はそこに浮いたような状態になっています。

 脳動脈瘤(りゅう)は、くも膜の内側のくも膜下腔を走る直径2.5~5ミリの太い動脈が枝分かれする部分にできる瘤(こぶ)のような膨らみです。破裂しない限り自覚症状はほとんどありません。

 獨協医科大学越谷病院の病院長の兵頭明夫医師はこう話します。

「心臓からの血液を送り込む脳動脈は高い圧力で血液を流すので、血流や血圧の影響で動脈の分岐する部分に負荷がかかり、風船のように徐々に膨らんでくることがあります。その部分の血管壁は他の部分よりも薄くなり、血流の圧力に耐えきれずに破れてしまいます。これが、くも膜下出血です」

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