レフト・大山悠輔が必死に追うも、打球はフェンスを直撃し、グラウンドを転々。2走者が生還し、打った岩本も三塁を狙える状況だった。

 ところが、佐藤純一三塁塁審の判定はなぜか「ファウル !」。緒方孝市監督が抗議したのは言うまでもない。約3分間のリプレー検証の結果、岩本の打球はフェアと判定されたが、得点1の2死二、三塁で試合再開。

「エッ、2点ではなく1点?なぜ?どうして?」

 カープファンの多くがそう思ったはずだ。緒方監督が再び抗議したが、審判団は「一塁走者は生還できなかった」という主張を譲らず、「検証後の判定に抗議は認められないルールがある。これ以上抗議すると退場になる」と通告したため、しぶしぶ引き下がった。

 幸い“幻の1点”が後を引くような結果にはならず、試合は広島が5対3で逃げ切り。だが、この日、2位・阪神との直接対決に勝った広島は、本来ならマジックが2つ減ってもおかしくないところなのに、引き分け数の関係で1つしか減らないという珍事に。勝利の喜びの陰で、もやもや気分が残る一日となった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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