オリックスのマレーロは、恋人デミさんを伴って入団記者会見を開いた (c)朝日新聞社
オリックスのマレーロは、恋人デミさんを伴って入団記者会見を開いた (c)朝日新聞社

 気がつけば、2月1日のキャンプインまであと半月を切った。プロ野球が恋しくなるこの季節だからこそ、改めて2017年シーズンの出来事を振り返っておきたい。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2017年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「痛恨のプレー編」である。

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 来日初アーチがベース踏み忘れで取り消されるという珍事……。デビュー戦でいきなりB級ニュースネタを提供してくれたのは、5月30日にオリックスに入団したマレーロだ。

 6月9日の中日戦(京セラドーム)、1番ライトで1軍デビュー。1点を追う5回無死一塁で迎えた3打席目、中日の先発・小笠原慎之介の真ん中チェンジアップを左中間席に打ち込んだ。

 来日第1号が逆転2ラン。幸先の良いデビューと思いきや、思いがけないアクシデントが待っていた。

 ダイヤモンドを一周した直後、中日の捕手・松井雅人から「ホームベースを踏んでいない」とアピールがあり、これを受けて吉本文弘一塁塁審が「アウト!」をジャッジ。場内は騒然とした。吉本塁審は「マレーロ選手が本塁を空過し、その後にアピールがあったので、得点は1点で試合を再開します」と説明した。

 逆転2ランが同点三塁打に格下げとなったマレーロは「自分は踏んだつもりだった。こんなことは初めて。本塁打にならず、勝ち越せなくてガッカリした部分はあった」とガックリ。

 実は、本塁で出迎えた球団マスコットのバファローブルとバファローベルがホームイン直前のマレーロにタッチに走ったことで、走路から少しずれ、これも踏み忘れの一因になったようだ。

「ブルとベルは球団の人に怒られて落ち込んでました」(球団関係者)

 だが、マレーロは翌10日の中日戦ですぐさま借りを返す。4回、ルーキー・柳裕也の直球を左中間5階席まで打ち込む特大ソロ。ホームインの直前、一塁側オリックスナインが「踏めよ!」と指さしながら念を押すと、マレーロはスピードを緩め、しっかり確認しながら、左足、右足の順で本塁ベースを踏んだ。

 ベース踏み忘れの次戦でリベンジ弾を放ったのは、1958年の長嶋茂雄(巨人)以来の快挙だった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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