2006年夏、ニューヨークでドゥービー・ブラザーズのライヴを観たあと、パトリック・シモンズからプレゼントされたTシャツ
2006年夏、ニューヨークでドゥービー・ブラザーズのライヴを観たあと、パトリック・シモンズからプレゼントされたTシャツ
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など

 イーグルスと並び、1970年代の米国のロックを牽引したドゥービー・ブラザーズ。42年前の1976年に初来日し、1月16日には日本武道館でライブをした。一方で、1月16日といえば、あの超大物ロック・スターが日本で逮捕された日でもある。音楽ライターの大友博さんが語る。

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 今からちょうど42年前ということになる1976年1月、ドゥービー・ブラザーズがはじめてのジャパン・ツアーを行なっている。

 年が明けるとすぐ日本にやって来た彼らは大阪、京都、福岡と回り、同月16日と17日、日本武道館のステージに立っていて、大学4年生ながら卒業まではまだ数年という状態にあった僕は、記憶に間違いがなければ、16日の武道館公演初日を観ているはずだ。

 75年12月から76年3月にかけて、クロスビー&ナッシュ、ドゥービーズ、イーグルス、ニール・ヤングがまるで月替わり特売品のような感じで初来日をはたすという、現在60歳前後の西海岸系ロック・ファンを狂喜させたに違いない「奇跡の4カ月」のなかでのことだった。

 これもまた記憶に間違いがなければ、当時の海外大物アーティストのS席チケットはだいたい3000円(物価の指標としてしばしば引用される大卒初任給は、現在の半分程度だったようだ)。なんとか皆勤したものの、バイト学生にとってはなかなかの出費で、「嬉しくもあり、辛くもあり」の4カ月だった。ちなみに1976年は、あのロッキード事件が政界を揺るがせた年。6月にはアントニオ猪木対モハメド・アリの異種格闘技戦が行なわれている。

 1970年代のアメリカン・ロック界を代表するバンドの一つとして人気を集め、多くのヒットを残したドゥービー・ブラザーズ。その原点は、カリフォルニア州サンノゼを拠点にPUDというトリオを率いて活動していたトム・ジョンストンと、パット・シモンズと出会いだった(なお、ご存じの方も多いと思うが、Doobieはマリファナ・シガレットを意味するヒッピーたちのスラングだったとか。とはいえ、サンフランシスコ周辺という環境や時代背景を考えると、それほど深い意図はなかったはず。だからこそ、そのままの名前で大手レコード会社と契約して一つの時代を築き上げることができたのだろう)。

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大友博

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大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。dot.内の「Music Street」で現在「ディラン名盤20選」を連載中

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