「こういう感情は皆が持っていると思うんですよ。だからそれをコントで表現しておくと、いざ日常でこういう人がいても免疫がついて笑えるんじゃないかなと思うんです。それで、やっているんですよ。奉仕です、奉仕(笑)」

 今回の劇団かもめんたるでは、笑い以外の感情も大切にし、ある挑戦もするという。

「ストーリーでは面白くて笑えるものをベースに、コントでは出来ない使い方をした笑いを表現したい。そこに喜びや感動を織り交ぜていきたい。しかも、ストレートではなく、誰もがやらないアプローチの仕方で感動させたいですね。失敗したら、何もなくなる。それ位、感動のアプローチの仕方にこだわります」

 コントという舞台での世界とは違い、素のお二人は恐ろしいほどにオーラを発していなかった。普通の人だった。それが舞台に立つとグロテスクや女装がパワーとなり、かもめんたるワールドが炸裂し、観る人を虜にさせる。彼らの舞台には笑いだけでなく、悲鳴に近いようなざわめきさえ起こることがある。それでも最後には笑いに変える底力が備わっている。徹底的にお芝居にこだわったコントを発信し続けるかもめんたるが、次に羽ばたく舞台は劇団というフィールド。演劇界に新しい風を起こすこと間違いないだろう。(新津勇樹)