日ハム・中田翔 (c)朝日新聞社
日ハム・中田翔 (c)朝日新聞社

 気がつけば、2月1日のキャンプインまであと1ヵ月を切った。プロ野球が恋しくなるこの季節だからこそ、改めて2017年シーズンの出来事を振り返っておきたい。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2017年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「試合以外でもネタを提供した選手編」である。

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 5月20日のオリックス戦(札幌ドーム)で天井の隙間に入る珍二塁打を放ち、「入るところがちげーよ」とポパイ顔負けの怪力ぶりを見せた日本ハムの主砲・中田翔がその4日後、ポパイから“ミイラ男”に変身(?)した。

 同24日、この日、試合のなかった日本ハムは、県営大宮公園野球場で練習していたが、外野ノックを受けていた近藤健介の本塁返球がそれ、ケージ裏でフリー打撃の順番を待っていた中田の右アゴをワンバウンドで直撃した。

「いてーよ。大丈夫じゃねーよ。誰かに殴られたと思って、イラっとして周りを見回したら、誰もおらんかった。オレじゃなかったら、倒れてるよ」(中田)

 幸い大事には至らず、そのままメニューを消化。38スイング中、4本の柵越えを放った。そして、練習後、再び姿を現した中田は、患部をアイシングで冷やすため、まるでミイラ男のように顔を包帯でグルグル巻きにしていた。ここぞとばかりにシャッターを押しまくる報道陣に「面白がってるんじゃねえよ」と言いつつも、「ネタができて良かったな」とサービス精神を発揮していた。

 その後、中田は一塁ベンチに足を運び、練習中の近藤を呼んだ。振り向いた近藤は、包帯姿の先輩に思わず吹いてしまったが、「(大事に至らず)良かった」と胸をなで下ろした。

 ヤフーニュースのトップを飾ったこのアクシデントから一夜明けて、同25日の西武戦(大宮)にスタメン出場した中田は、特にアザもなく、「触ったら少し痛いけど、大丈夫」と元気な姿をアピールした。

 続いて登場するのは、大谷翔平。2016年はプロ野球史上初の投手、打者両部門でベストナイン選出。チームも日本一と最良のシーズンだったが、2017年は一転ご難続きとなった。

 まず、1月の自主トレ中に右足首を痛め、侍ジャパンのエース、主力打者として期待された第4回WBCを無念の出場辞退。シーズン開幕後も、4月8日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で走塁中に左大腿二頭筋肉離れを発症。さらに5月10日には、インフルエンザB型と診断された。

 そんな大谷が、復活の兆しを見せはじめたのは、5月下旬だった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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