雑煮にを入れるのは定番だが、どんな餅を入れるだけでも、地域によって違いがある。一般的には関東風は焼いた切り餅、関西風はゆでた丸餅が有名。だが、それだけではない。あんこ入りの餅を雑煮に入れる地域もあるというのだ。

「親戚が香川県出身で、お雑煮のお餅はあんこ入りです」(近畿地方に住む50代女性)

 前出の本田さんによると、鳥取では小豆雑煮というぜんざいに似た甘い雑煮を食べるという。そのほか、島根県の男性からは「十六島(うっぷるい)海苔を雑煮に入れたりして食べる」という声も寄せられた。

<郷土料理

 正月に郷土料理を食べる地域もあるだろう。新潟では「鯉こく」や「のっぺい汁」を食べるという。のっぺい汁は根菜などの具材が入ったとろみのあるおつゆが特徴。こうした味は地域を超えて、家庭内で受け継がれているようで関東地方に住む女性は「両親が新潟出身なので、東京の生まれ育ちの私でもお雑煮は新潟の『のっぺい』です」。

 定番のお煮しめも福岡では筑前煮に似た「がめ煮」。年越しに食べるのは定番のそばだけでなく、香川県では「年越しうどん」となり、「年越しイワシ」(中国地方、50代男性)を食べる地域も。

 ちなみに沖縄では豚の角煮「ラフテー」のほか、汁物は白味噌仕立ての「イナムドゥチ」や豚のモツを煮込んだ「中身汁」などが欠かせない。

 カナダのバンクーバーに住む女性はアンケートにこうつづった。

「栗きんとんと黒豆は息子たちにせがまれます」

 豊かな1年を願って食べるおせち料理。その味は遠い国でも引き継がれている。

(AERA dot.編集部・金城珠代)