■症状 片麻痺や意識障害、頭痛があらわれる

 脳出血を発症した場合の初期症状では片麻痺が53%ともっとも多くなっています。片麻痺は脳の出血が起きた側とは反対側の手足に症状が現れます。

 意識が遠のいたり、急に意識がなくなったりする意識障害や、言葉が不明瞭になる構音障害が起こることもあります。

 内側型の場合は温度や物に触れる感覚が鈍くなる感覚障害が現れたり、眼球が内側に寄ったり、瞳孔が小さくなったりする目の異変を伴う場合があります。

 小脳出血では回転性のめまいが現れたり、立って歩くことができない歩行障害や顔面神経麻痺が現れたりします。脳幹出血でもめまいを起こすことがあります。

 脳出血の症状は脳梗塞(こうそく)の症状と共通するものが多く、どちらを発症したのかすぐには区別が難しい場合があります。病院での画像検査で最終的な診断がつけられます。

■予防 高血圧の治療が必須 生活習慣の見直しも

 脳出血の予防でもっとも重要なことは最大の危険因子である高血圧を適切に治療することです。

「高血圧には自覚症状がありません。健康診断などで高血圧と言われたら必ず医師に相談しましょう。血圧を下げる薬の種類も増え、高血圧は管理しやすくなりました」(佐藤医師)

 自宅に血圧計を用意して毎朝、血圧を測る習慣をつけましょう。

「朝は交感神経が活発になり、体温や血圧が上昇してきます。朝に収縮期血圧(上の血圧)が140mmHgを超えている人は、何かのときにグッと血圧が上がる可能性があります」(同)

 食事の塩分摂取を控えたり、適度な運動を続けることも血圧管理には効果的です。

 また、糖尿病の人は血管が弱いので脳出血を起こしやすいため、病院で適切な治療を受けることが大事です。

■内科治療 血圧を下げ脳のむくみを抑える

 脳出血の治療は主に薬を使った内科治療です。最優先は安静を保ち、血圧を下げて安定させることで出血が止まるのを助け、再出血を予防します。

「点滴で血圧を下げる薬を投与し、高血圧を治療します。血圧の高い状態が続けば出血は止まりにくく、血液の塊(血腫)が脳の他の部分を圧迫する危険性があります」(同)

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