楽天の本拠地で起きた「世にも奇妙な物語」【プロ野球B級ニュース事件簿】 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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楽天の本拠地で起きた「世にも奇妙な物語」【プロ野球B級ニュース事件簿】

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久保田龍雄dot.
試合後、鳥の群れは球場に戻り飛び続けた=Koboパーク宮城 (c)朝日新聞社

試合後、鳥の群れは球場に戻り飛び続けた=Koboパーク宮城 (c)朝日新聞社

 8月19日のソフトバンクvs楽天(Koboパーク宮城)で、突然スタンドの観客がざわついたため、試合が中断される珍事が起きた。

 事件が起きたのは、ソフトバンクが1点を先制した直後の3回表2死二、三塁。打者・中村晃のカウント1-1から則本昴大が投球動作に入ろうとしたときだった。突然、スタンド全体がざわつきだしたため、則本はいったんプレートを外した。石山智也球審も慌ててタイムを要求。騒ぎが一段落するまで約10秒間、試合が中断した。

 スタンド内で急病人や動物が入り込むなどのアクシデントがあったかに思われたが、実は、騒ぎの原因は、なんと、同じ日に甲子園で開催中の高校野球だった。

 地元・仙台育英が9回2死無走者から春夏連覇を狙う大阪桐蔭に奇跡的な逆転サヨナラ勝ち。試合の結果をスマートフォンなどで知った観客が興奮し、周りに伝えるなどしたため、たちまちスタンド全体に「ざわざわ」が波及していったというしだい。

 同校OBのソフトバンク・上林誠知は「球場がざわついたときは何が起きたのかわからなかった。(ライトの)守備につくときに楽天ファンの方が『育英勝ったよ』と教えてくれた」と説明。この日は3回に先制点のきっかけとなる右越え二塁打を記録。自ら打って、母校も勝利という二重の喜びを味わった。

 一方、楽天は“育英効果”にあやかれず5連敗。残念ながら、「楽天が勝った!」とスタンドを熱狂させることはできなかった。

“仙台育英が勝った”騒動から11日後、またしても、Koboパーク宮城を舞台に、不思議な現象で試合が中断する騒ぎが起きた。

 今度は映画「鳥」のヒッチコック監督もビックリの“鳥騒動”である。

 8回表、西武の攻撃終了後に降雨で25分間試合が中断したのが、騒動の序曲だった。グラウンド整備が終わり、西武ナインが守備位置に就くと、中断中に現れた約100羽の野鳥がグラウンドを低空で旋回。体の近くを飛び回る鳥に、選手たちは身をかがめて避ける事態に。これでは、野球どころではない。

 球場係員が警笛を吹いて追い散らそうとしたが、効果なし。そこで、バックスクリーンから花火を打ち上げたが、これも駄目。

「こうなったら、最後の手段」と、球場の照明を落とし、真っ暗にすると、約10分後、鳥たちもようやく上空に飛び立ち、姿を消した。

 再点灯に時間を要したため、33分後に試合再開。降雨と合わせて約1時間の中断は、試合の流れまで変えてしまった。

 8回裏、楽天はオコエ瑠偉の二塁打などで4点を挙げ、8対8の同点。直後、再び雨脚が強くなったため、8回コールドの引き分けとなった。負ければ3位転落だった楽天は、敗色濃厚の試合を鳥の群れに救われた形。梨田昌孝監督も「初めての経験ですね。照明を消したり、花火も打ち上げて。ビックリしましたけど。何とか徳俵で残ってくれました」と鳥に感謝だった。

 一方、4点リードが一転引き分けになり、2位浮上を取り(鳥?)逃がした形の西武・辻発彦監督は「結局、鳥の時間だろ」と苦虫をかみつぶしたような表情だった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。


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