(3)インプラント

 インプラントは、あごの骨に金属などで作られた人工歯根を埋め込み、それを土台にして人工の歯(人工歯冠)を取り付ける方法です。あごの骨にしっかりと固定されるため、自分の歯に近い感覚で噛めますし、見た目も変わりません。また、ブリッジのように健康な歯を削らずに済みます。全部歯を失った場合でも、インプラント治療をすることができます。

 しかし、人工歯根を埋め込むための外科手術が必要で、あごの骨にしっかりとくっつくまでに3カ月~半年ほどかかります。歯周病で歯槽骨が少なくなった人や全身状態が悪い人は、インプラント治療ができないこともあります。また、歯周病の人がインプラント治療をすると「インプラント周囲炎」を起こしやすいので、注意が必要です。

 ※費用:インプラントには健康保険が適用されず、全額自費負担です。医療機関によって異なりますが、1本当たり数十万円の高額な治療費がかかります。歯科医師から十分に説明を聞き、納得してから治療を受けてください。

■インプラント周囲炎にご用心

 「インプラント(人工歯根)は人工物だから、むし歯にも歯周病にもならない。安心だ」などと考えていませんか?

 確かに人工歯根自体はむし歯になることはありませんが、それを埋め込む骨の周辺には歯肉があるので、清掃状態が悪ければ根元にプラークがたまります。たまったプラークや歯石は人工歯根を支えている周りの骨を溶かしていき、最悪の場合は人工歯根が抜け落ちてしまうことも。インプラントを入れても歯周病と同じ状態になるということです。

 インプラント治療をする前に歯周病をしっかり治しておくのはもちろんのこと、インプラントを入れたあともブラッシングによるセルフ・ケアを欠かさないようにしましょう。定期的に歯科でメインテナンスしてもらうことも不可欠です。