■歯肉を美しく、ブラッシングもしやすくする「歯周形成手術」

 歯周病では病気が進行したり治療を受けたりすることによって、「歯肉が下がって、あるいは歯肉が痩せて歯が長く見える」「差し歯と歯肉の境い目が見える」「歯肉が左右非対称など形が悪い」「歯と歯の間のすき間が大きくなった」など、「見た目」に支障をきたすことがあります。「歯周形成手術」は、こうした歯肉の見た目を手術で改善します。笑顔を重視する欧米ではすでに50年ほど前からおこなわれていて、日本でも広がりつつあります。

「見た目」の重要度は人それぞれですが、とくに最近は20代30代の若い女性にも歯周病が増えていて、見た目の悪さが患者さんの精神状態に大きな影響を及ぼしているケースもあります。歯周形成手術をしたあと、笑顔に自信がもてるようになり、とても明るくなる患者さんも少なくありません。また、歯肉の形を整えることによって、ブラッシングがしやすくなるという効果も期待できます。

 さまざまな歯周形成手術の中で最もよくおこなわれるのが、歯肉が下がって歯が長く見える場合におこなわれる「根面被覆術(こんめんひふくじゅつ)」です。局所麻酔をして、口蓋(上顎の裏側)から切除した歯肉を、歯肉が下がってしまった部分に移植する手術で、1時間ほどで終了します。ただし口蓋の歯肉が薄い人は、この治療はできません。